2009/12/08

神奈川県、日額制に

■先月末は本会議があって、うっかりしていたが行政委員の報酬について神奈川県がそのほとんどを日額制に改める条例改正案を出すことになった■今日、総務課長からそう聞かされて、やっぱりなぁと思った■神奈川県は深刻な財政危機にある。他人事と思っていたら世田谷区も税収不足が来年度140億円ということで、実はパニック状態にある。9月の本会議では見通しとして70億円の不足だった。3か月で2倍に膨らんだ■さらに経済はデフレ・スパイラルにある。加えて新政権以降のコストなのかもしれないが経済政策も定まらない■大きな問題は分権以前なので国の判断によるところが大きいが、地方自治の首長の決断によって変えられる部分もまだまだあるということ。神奈川県知事の英断を評したい。

2009/12/07

国家の誕生

■NHKで「坂の上の雲」が始まった。本作品は司馬遼太郎氏の遺言で映像化は不可ということだったが遺族の了解を経てようやくテレビドラマ化に至ったという■軍人なり軍隊は最も“見栄えのする”領域である。司馬氏はその映像による“拡大する印象”を警戒したのだろう■それはさておき、初回の冒頭、「まことに小さな国が・・・」というナレーションで始まり「明治維新によって日本人は初めて近代的な国家というものを持った。誰もが国民になった」と続くが、この近代国家の誕生こそが・・・税金の発生であり、私有地(所有権)の発生である(他にもいっぱいあるが)■物語は日露戦争というとてつもない費用(戦費)のかかる大事業に向かっていく。その財政的な側面については触れていない。しかしすべての出来事は税金の発生によって実現されていく■手元にある文庫本は社会人になりたての頃に読んだもので四半世紀以上たっている。改めて眺めてみると全く違う観点から疑問はつきない。

2009/12/06

ウェディングケーキと政治

●売買契約は品物とお金の交換である。品物を用意したのにお金を支払わない場合、一方的に訴えられる。当たり前の話である。しかし民法には例外がある。それが「定期行為」というものだ●よく例にあげられるのは(実際にはあんまりないのだろうが)ウェディングケーキが結婚式に遅れた場合である。仮に10分でも、結婚式が終了した後では用をなさない●この場合、立派なケーキを持ってこられても代金の支払いを拒否できる●世の中、滅多に10分の遅れで支払いを拒否できるものはない。デパートで買い物してもそれくらい待たされることはある。たとえ何かの事情で1日遅れたって我慢の範囲であろう●しかしウェディングケーキのように決められた期日と時間までに(まさに定期)品物が届いてなければ、全く無価値になってしまうものがある●政治もそうである。間に合わなければほとんど意味をなさなくなってしまうことがある。あるどころか政治はすべてと言ってよい●残念ながら国民は政治の「定期行為」には税金の支払いを拒否できない。

2009/12/05

次なる「重大な決意」

●すでに新聞は日米関係の悪化を伝えている。民主寄りと言われる朝日新聞でも「結論の先送りは、日米合意の早期履行を迫る米国、普天間の早期の危険性除去を求める沖縄のいずれの期待も裏切った。首相のやる気が疑われ、日米合意の白紙撤回とうけとられかねない。政権内には手詰まり感が漂っている。」(5日朝刊2面)さらに日米のやりとりを読売はリアルに報じている(左参照)●「鳩山政権の不誠実な対応がオバマ大統領の顔にどれほど泥を塗ったか」と言ったのは駐日米国大使。すごいこと言う。言われたのは日本の外相と防衛相。それも昨日のこと。さらに米国政府で「もう、首相を信用している人はだれもいない」だって●これって最悪の関係だろう。コトは交渉事である。外国(米国)との交渉事と国内(沖縄県)での交渉を同列で論じることはできない。(同列なら沖縄は独立国ということになる)ましてや国会の“固定した数”の論理で外交・安保を判断するというのは間違った民主主義である(県外と主張しているのは社民と国民新党および共産党くらいで、参院の国会勢力の1割程度。しかも「県外」の実現性のある対案は無い。これでは単に「出て行け!」ということか?)●つまり社民の主張は国会の中では圧倒的に少数にすぎないのに、連立ということで、その主張がまかり通ってしまうというのは、政府として民意を取り違えている●朝日は編集委員の星浩氏が5日の朝刊で「首相の12月危機」というコラムを掲載して鳩山政権を冷ややかに見始めている●年内見送りはあくまで日本政府の都合である。逆に年内に相手がどう出てくるかはわからない。今後、オバマ大統領の「重大な決意」があるかもしれない。時あたかも、もうすぐ12月8日である。(関係ないか)

※国の予算は決まらない、税制はまとまらない、地方負担はあいまいと地方自治を取り巻く環境は困り切っている。おまけに経済政策はバラバラで現実に区の生活保護世帯が急増して都の平均を上回っている。かつてない緊急事態である。にもかかわらず、政権の判断はモタモタしている。「生活が第一」のためには、やはり国がしっかりしなくてはどうにもならないことを今まさに実証している。だから外交・安保で国政選挙は選ばないとダメなのである。生活に直結する手当の話を大きくして国政選挙をするのは、やはり禁じ手なのである。何度も書くけど、地方自治のテーマで国政選挙を戦えば、国政のテーマで戦っている政党より身近に感じられることはあったり前なのある。まあそれが最大の勝因とは言わないが。

2009/12/03

行政の代理人?

●都議会の自民党の“立ち位置”がわからない●「議決された予算が執行されただけで、決算に問題はない」●と言うなら決算委員会は必要ない。公認会計士にチェックさせれば済む話である●地方議会は行政をチェックする機関である。つまり議会は行政と対峙関係にある●その点を踏まえて議員というものを考えなければならない●にもかかわらず自民党の“主張”はまるで行政の代弁者のように聞こえるからおかしい●数字が合っても無理な政策は、無理な決算を招くのである。あの夕張市の決算も数字は合っていたのである。

2009/12/01

政権のDNA

●怖い話である(11月28日毎日新聞「近聞遠見」)●今から四十年近く昔のこととは言え、今はなき社会党のスター政治家が、政権の中枢にいた田中角栄大臣から、何と大臣室で現金を受け取っていたという話だ●こう書くとナマナマしいが、その手際の良さがいかにも“角さん”らしいと書かれては、まるで世話物を見せられているようだ●「カネはあって邪魔にならんよ」その一言で受け取ってしまった。額は百万円。現在にすれば五百万くらいになるだろうか●スター政治家のフトコロ事情には触れていないが、常識的にみてかなり苦しかったのではなかろうか●そうでなくては、いくら昔の時代感覚といっても「邪魔にならない」という理由だけで貰うだろうか●結局この話は、田中角栄という不世出の金権政治家の「人の弱みにつけ込んで」政治を動かすテクニックの一端を示している●もっとも「つけ込んで」いることを、感じさせないのが神業であろうが●その後スター政治家は反戦平和で名を馳せたが、金権政治にはジャーナリスト出身議員としては触れなかった●発信力のあるテレビ出身議員への“口止め料”とすれば田中角栄氏にとっては“安かった”のかも知れない●そして現在、その角栄氏の“愛弟子”が政治の中心にいる。さすがに金権政治は御法度の時代である。しかしながら、新人議員には“落選の恐怖”を、中堅議員には“政権ポスト”をチラつかせながら統率するのは、有権者からは気分の良いことではない。ましてや議員立法や質問を制約したり、請願の紹介を自粛させたりと、選挙に勝ったらまるでやりたい放題の観がある●それもこれも選挙大勝の原動力が小沢一郎氏だったからであるが、彼の選挙手法は何か。見るところ、“師匠”と同じコトを国民相手にしようとした、としか思えない●大臣室で国会議員に現金を渡すのは金権政治そのものである。しかし選挙を通じて国民に現金を渡す公約を掲げるのは何?政治というのだろうか●子ども手当、農家の戸別所得補償、高速道路無料化。困っている人からすれば喉から手が出るほど、であろうし、余裕のある人でさえ「カネはあって邪魔にならんよ」ということであろう。そのことからすれば「コンクリートのバラマキから人へのバラマキ」というのは至言である●さらに国政問題を地方自治の問題に置き替えた選挙戦略は、有権者の生活実感に沿ったものでわかりやすかった、反面、本来の国政のテーマである経済・外交・安全保障の問題を有権者の視界から遮ったのも事実である●要するに地方政治のテーマを国政選挙でやって大勝したということである●大勝した結果、何事か大きな改革をやるには一党独裁的な、つまり昔の「一致団結箱弁当」のような体制がやりやすいと考えるのはあまりにも短絡的である。改革を仮に終えても独裁体制は残り続けるのが歴史の通例である。それどころか改革ができない理由を隠すためにモンスター化することのほうが多い●だから独裁は悪であり、独裁体制への方向は許してはならない。かと言って自民党がああではね。まことに怖い話である。