2010/11/10

子ども手当の変質・迷走・なし崩し

どうやら、子ども手当は近い将来なくなりそうである。おそらく元の児童手当のような、経済的に困窮している世帯を対象とする制度に戻るのではないか理由は簡単である。財源が見つからないからである。10日の読売では制度そのものが“なし崩し"の状態になっていることを報じている。さらに民主党議員が「子ども手当という政策に確固とした理念も見通しもなかった」と断じている政策から理念が無くなれば、通常は“無駄遣い"となる。常識であるそもそも、子ども手当がどうして出来たか検証してみる必要がある今年の2月28日の毎日新聞がその経緯を詳しく伝えている。当初は配偶者控除などを廃止し財源に充てる考えで、新たな財源は不要で1人当たり1万6千円。税の簡素化、世帯より個人という理念に沿ったもので2005年の衆院選のマニフェスト上位に掲げたしかし2005年の衆院選は小泉郵政解散で自民党が歴史的大勝、民主党は歴史的大敗という結果から、まじめな岡田代表から、選挙至上主義の小沢代表に交替し、子ども手当の制度設計がめちゃくちゃになっていく2008年の参院選を前に小沢氏がいきなり一人当たり2万6千円と選挙対策上の必要性からブチ上げたというおそらく、他の民主党の政策も同様。元もとは理念がしっかりしていたが、途中から選挙至上主義の小沢氏の手法によって“モンスター化"してしまったのであるそのモンスター化した国民との約束に苦しんでいるのが現在の政権というわけである問題なのはこの子ども手当に深く関わっていた政治家が、選挙至上主義によって理念も財源もそっちのけになる状況を“黙認"していたことである子ども手当は財源問題である。その捻出をどうするかが制度設計の根幹である。小沢主義では破綻することは誰よりもわかっていたはずである。にもかかわらず拱手傍観していたとすれば、小沢氏よりも責任は重い子ども手当の担当窓口は地方自治体であり、地方自治体の財源問題も絡んでいる。理念なき政策の迷走は大迷惑である。