2016/10/14

決算書類の問題点

世田谷区に限らないが、役所の出す決算書というのは完全な“予定調和”で貫かれている。すなわち借金も収入として見做しているから、結果的にはいつも黒字という結末。

民間で倒産というのは、借金しようにも借金できなくなった状態であり、どんなに赤字だろうと、リスク無視でお金を貸してくれる人(銀行)がいる限り、倒産しない。ただし、貸してくれる人が、いくらお金持ちでも限界はある。ましてや貸し手が銀行の場合、預金者がリスクを感じて、預金を引き出せば、その銀行は貸し続けることはできない。もっとも貸し手が“お金をいくらでも印刷できる”場合、いつまでも貸し続けられるので、倒産はいつまでも避けられる。国はまさにその状態である。

実は区から提出された決算書類3冊(合計、1,115ページ!)の端から端まで見ても、具体的な事業の数値的な正確な姿は見えない。


役所の決算書類は全事業をバラバラに分解して、大昔の基準で分散させているので、例えば、世田谷区の保育所の事業運営費はどれくらい掛かっているのか、その数字が載っているページを正確に掴むことはできない。結果として役人以外には正確な合計額がわからない状態になっている。

実際には、世田谷区の保育所の事業運営費はどうなっているのか、担当部署なり、財政担当に尋ねれば、すぐとはいわないが、数字は出してくれるし、説明も十分にしてくれる。

しかし、尋ねなければ答えないという伝統的システム、というのは議会審議として、問題である。

昨今の都議会を見ていて、つくづくそう思った。

世田谷区の決算委員会では、その点の不備(書類には細かい数字が並べられているが、そもそもの人件費を始め全事業の実態はわからない欠陥)を改めて指摘した。

(写真は14日まで東京ビッグサイトで行われていた「国際福祉機器展」数年ぶりに議会日程と重ならなかったので行けた)