2017/08/16

福祉保健委員会視察2

浜松での障がい者雇用で実績をあげる、京丸園株式会社の話のつづき。

会社は芽ネギ、チンゲンサイ、ミツバなどを栽培している農業生産法人で従業員の3割超が障がい者スタッフとして働いている。

言われてみれば、実にそうなのだが、会社は労働力のみに注目していることが成功のカギのように思えた。

ともすれば、障がい者に対して、人生すべての配慮を用意しなければと考える方向性に対して、会社はそれまでの経験から、かなり割り切っている。

これは個人的な受け止め方かも知れないが、会社は障がい者の労働環境に限って、配慮というよりも創意工夫の努力で生産性を向上させているように見えた。(別の言い方をすれば障がい者にとって働きやすい環境整備。)

裏返せば、障がい者が抱える生活上の悩みや相談事は、行政に受け持ってもらう、という考え方である。

つまり、農業のプロと福祉のプロが良い意味で分担しているということである。

実は、会社が障がい者を受け入れた初期、何としても頑張ってもらおうとする従業員の善意がリミッターを超えて、農業のプロの範囲から福祉の領域まで及び、行き詰まった経験があったという。そこで餅は餅屋ということで福祉は行政にまかせるという割り切りに転じたそうである。

いわゆる、行政が民間にお願いして、という方向ではなく、民間が行政を活用するという、当たり前の転換である。

さらに、最も重要なことは会社が儲かっているということ。この会社はブランド化された農産品を有している。強みである。

大量生産そして大量消費という時代(分野)にあっては大型投資(機械化)が生産効率を上げる手段であったかも知れないが、面白いものを、貴重なものを消費する時代にあっては、労働集約型の縛りから出るのは難しいだろう。

とすれば、安易な機械導入ができない会社は数は多いだろうし、使える労働力の研究はもっとできると思う。

もちろん、世田谷で農業ということで話を聞いていたわけではない。ロケーションがまるで違うことは承知の上で、労働(民間)と福祉(行政)の分担のあり方、特許製品とかブランド商品を有する民間業界における差別化を達成している会社のアドバンテージをどう社会に還元させるのか、いろいろ考えさせられた。